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解釈モデル

1. NBMの方法論を学ぶこと
NBMは「物語と対話に基づく医療」である_そのような概念は了解したとしても、それをどう実際の医療に用いるのか、それが分からなければ、NBMは実践的意義を持たず、単なる医療者個人の信念や倫理規範の類となり、「患者との対話を重視しよう、患者の話を深く傾聴しよう」といった平凡な結論のみで終わりかねない。重要なのは、具体的方法論である。
そこで今回は、私が勉強したNBMの方法論の一つの内容を紹介したい。(ただし、内容自体は、最近では、ごくごく一般的に医療面接技法として紹介されているものであり、画期的なものではないだろう。この内容を紹介するだけでは、まだまだ、「NBMの真価を探っている」などとは言い難い。勉強不足である。)また、これ以上に興味深いEBMやNBM関連の事項を学んだら、紹介していきたいと思う。

2. 解釈モデルとNBM
さて、今回紹介するのは解釈モデル(explanatorymodel)と呼ばれる技法である。解釈モデルは、以下に述べるように患者の病(やまい)体験を患者の言葉を通して理解しようとする点においてNBMとの関わりの深いと考えられる。

3. 解釈モデルの定義
飯島氏は、解釈モデルとは「患者が自分の見方で見て、自分の言葉で表現し、自分の価値観で意味づけた、自分の病気についての考え方のこと」と定義している。
飯島克己,患者対応学,永井書店,東京,1998,p.12.

具体的には、ある主訴で来院した患者自身に「その症状に関して、ご自身でこんな原因ではないのか、こんな病気ではないか、と心配なものはありませんか?」と尋ねてみることである。
解釈モデルは、一般に良好な医師ー患者関係を構築するために必要な情報とされていて、患者から解釈モデルを聞くことで心理社会的情報だけでなく診断や治療に直結する情報を得ることができるとされる。しかし、実際のところ、その意義については不明な点も多く、医療現場において、その価値をなかなか見いだせないといった状況も少なくない。そこで今回は、患者の解釈モデルを質的研究法に基づき3つに類型化し、解釈モデルの意義の一つに、メタファー(暗喩)があると述べられた研究を紹介する。

タイトル:外来診療における患者解釈モデルの質的検討
日本プライマリ・ケア連合学会誌2013,vol.36,no.2,p.88ー92.
【目的】解釈モデルとして患者が何を語っているのかを明らかにする。
【方法】2011年9月~2012年2月に富山大学附属病院総合診療部を受診した初診患者のうち,病状に対する患者解釈モデルが記載されていた91名分のカルテにおいて修正型グラウンデッド・セオリー・アプローチ*を用いて質的に検討した。
【結果】
≪解釈モデルの類型≫
解釈モデルは以下の3つに分類できる
「特定の疾患」の物語(27%):「肺癌なのではないか?」「脳卒中ではないか?」
「漠然とした病態」の物語(57%):「頭の血管がどうにかなったのではないか」「この間もらった薬のせいではないか」
「心理社会的要因」の物語(15%):「不規則な生活のせい」「仕事の疲れからくるもの」
≪患者の解釈と医学的診断名の整合性≫
「心理社会的要因」群では,1例を除き器質的疾患は認められなかった。残りの物語群では約半数に器質的疾患を認めたが,患者が述べた通りの疾患や病態であったのは16.5%のみであった。脳血管障害,癌などの病名を挙げた例が多かったが,ほとんどは異常を認めなかった。

4. 解釈モデルの意義を探る
・研究では、解釈モデルとして患者が挙げる病名が診断名と一致している例はごく一部に限られていて、診断の予想に用いるのは、不適当であると考えられる。
・一方、著者は解釈モデルの意義として患者の不安のメタファーとしての機能を強調している。メタファーとは「~のようだ」を欠く比喩表現で、文学作品以外にも日常の様々な場面で見出すことができる修辞法である。中でも癌や結核などの重篤な疾患には古くから様々な(多くはネガテイプな)イメージが付与されてきた。
・著者は、患者に解釈モデルがどの程度、暗喩であるか判断するのは困難であるが、その暗喩のイメージを言語化して患者に確認するようにした(例「脳卒中のような重い病気が知らないうちに進んでいるのではと、心配になられたのですね」など)場合、うまく汲み取れていた場合には、患者からの強い同意とともに、一気に心理的距離が縮まるという作用があると述べている。
・著者は解釈モデルの意義を以下のように推測している。―身体症状とは患者にとっては非日常的な体験である。それはまさに「腑に落ちない」体験であり、患者はこれを受容するために何らかの解釈(物語)を求める。ある患者は自己の経験に基づいて解釈を試みていた。別の患者は家族や知人の経験を自分にあてはめて解釈していた。ネットや書籍などから情報を収集する患者もいた。そして「特定の疾患」や「漠然とした病態」、「心理社会的要因」など様々な解釈モデルを語ることで、「その腑に落ちない症状を受容できるものに変容しようとするのである

無題
図1. 解釈モデルの位置付けと機能 日本プライマリ・ケア連合学会誌2013,vol.36,no.2,p.88ー92より引用

解釈モデルは「腑に落ちる物語を見出そうと模索する、患者なりの語りの試み」という側面があると述べてている。

なるほど。解釈モデルは不安の暗喩であり、それは患者の病(やまい)体験への受容への試みであると分かった。まずは、患者の解釈モデルに耳を傾けることで、患者の不安や患者の病体験に寄り添える一歩となるかもしれないと思う。*ところで、紹介した研究の修正型グラウンデッド・セオリー・アプローチとは何だろうか?質的研究の方法論だろうか?いつか、勉強してみたい。
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プロフィール

紀藤碧

Author:紀藤碧
北国の医学生(現在5回生)。
たまに、個人的なことを書くかもしれませんが、国家試験のための勉強まとめが中心です。当ブログは、医学的な助言は一切行っておりません。病気の相談や医療的責任は負えません。できるだけ、エビデンスに基づこうとしていますが、所詮は試験対策ですのでご了承ください。

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